東京農村ブログ

【東京農サロンNEO】2026年11月 徳川将軍献上「奥多摩わさび」存続の危機にたちむかう!レポート

11月19日、東京農サロンNEOが開催されました!

今回は奥多摩町町議会議員の伊藤英人さんと奥多摩町で観光業を営まれている角井仁さんにお越しいただき、奥多摩町のわさび栽培の現状とわさびを使った地域おこしの取り組みについてお話いただきました。

奥多摩町は町全域が国立公園に指定されていて、標高は最高点で2000mを越えるほど。
森林に囲まれた高地であり、寒冷な気候を生かして伝統的にわさび栽培が営まれてきました。
その歴史は江戸時代にさかのぼり明確な記録はないものの、1823年に描かれた武蔵名勝図絵には幕府に献上していた記録が残っているそうです。
わさび栽培は奥多摩町の主要産業である林業と作業に親和性があり、山の管理の一環として林業に次ぐ第二の収入源として、副業のような形で実施されてきたのだといいます。
伊藤さんも町議会議員としてご活躍されると同時に、今から15年ほど前にわさび栽培を一から習得し、今ではご自身のわさび田を所有されています。
奥多摩町では、わさび生産者が高齢化していて、生産量も微増減を繰り返しながらも過去最低を記録する中で、町として後継者を育成する取り組みが実施されています。
その名も「わさび塾」。わさび塾では2年間でわさび栽培の手法を一から習得できるそうで、現在まで18期続き、計約100名ほどが修了しています。町がわさび栽培の存続を支援する仕組みが存在しています。
伊藤さんの言葉の節々からは町議会議員として奥多摩のわさび栽培文化を守り抜いていく責務のようなものを感じました。

もう一人のゲスト、角井さんは、”現代型副業”わさび生産者です。
角井さんは奥多摩町の出身ではなく、ご自身の趣味であったキャニオリングという渓谷を舞台にするアウトドアスポーツを通じて奥多摩町に出会い、その自然に魅了され奥多摩町に移住されたといいます。
角井さんは奥多摩町で観光業を営んでいて、キャニオニングを主催していらっしゃいます。ですがキャニオニングは夏のスポーツなので、冬は寒い時期に収穫を迎えるわさびを中心にしたツアーを開催されているそうです。
角井さんは観光業の副業としてわさび栽培を行うと同時に、わさびを奥多摩の観光資源に組み込もうと尽力されている方です。
わさびツアーでは、わさび田に実際に訪れて最後には名物のわさび丼を食べることができ、近年では海外からの観光客も増えているそう。奥多摩が大規模生産地とは異なり、渓流の地形を生かしてわさび栽培をしているからこそ成り立つツアーですね。
また角井さんはツーリズムの一部でバーベキュー場を運営する中で、わさびのおいしい食べ方を提案するほか、わさび食堂を運営して奥多摩産のわさびをより多くの人に届けていらっしゃいます。
生わさびを加工品にするのではなく、奥多摩町に来てもらって食べてもらう。奥多摩町に移住を決める程魅力を感じている角井さんからは、奥多摩の魅力を作りたい、伝えたいという強い思いを感じました。

お二人とも貴重なお話ありがとうございました!


エマリコくにたちインターン 坂井陸斗

稲城の梨 140年近く続く生産者組合のブランド力!【東京農サロン・ネオレポート】

9月の「東京農サロンNeo」が先日開催されました。

今回はJA東京の吉田知弘さん、農家の細渕良成さんをお招きし、杉並区の農業をテーマにご講演いただきました。

吉田さんからは、杉並区の農業の変化、また近年に都市の農地がどのような役割を期待されているのか、それに伴いJAがどのような取り組みをしているのかという点に関してお話をいただきました。

杉並区の農業は農地の面積、農家の数の観点から見ると、ここ10年程で縮小傾向にあるとのことでした。平成26年には46.3haだった農地は、現在では36.24haほどで、同じく平成26年には152戸あった農家の数も、現在では119戸まで数を減らしています。
一方で区民の農業に対する期待は高まっています。農業に触れる機会を求める声が高まっており、食育に代表される教育的な効果も広く認知されてきたといえるでしょう。JA東京中央では、「営農事業」、とりわけ「農園管理」を通じて市民と農業の接点を作る取り組みを実施しています。
すぎのこ農園の運営もその一例です。区民ボランティアの協力の元、収穫を体験できるイベントを開催している他、区画を一部貸し出すことで農業に実際に取り組む機会を区民に提供しています。

すぎのこ農園に関して特筆したいのは「農福連携」の取り組みです。
都市農園は、農産物を生産する以外にも多面的機能を持ちます。その中でも、すぎのこ農園は「福祉」の機能を持つ農園だと紹介がありました。農園では障がい者が農業に触れる実習を通じ就労を支援しています。また農園で収穫された作物は施設の料理に使用されているようです。

農園は「子供の教育の場」にもなっています。
成田西ふれあい農業園では、「農に触れあう講座」と題して中高学年の小学生18人を対象に収穫・調理・食事の体験プログラムを実施しています。これは農園から食卓に野菜が届くまで実感できる食育の取り組みです。その他にも季節ごとのイベントや収穫体験、講演会を実施し、子供に限らず様々な人と農業の接点を作り出しています。

吉田さんは長く農産物を販売する現場の最前線に立たれてきた方だそうで、お話や立ち振る舞いからお客様と農産物、また販売現場と農家の接点をたくさん目にされてきたのだろうと感じました。後述する細渕さんが、収穫した農産物の大半を軒先で売り切ってしまいJAに出荷できる分が少ないことがあるとお話をなさっていたときの吉田さんの表情はとても寛容で、長く現場を目にされているからこそ地域の農業の事情を事細かにご理解なさっているのだろうと思いました。その上で地域の方々と農業の接点を増やそうと奔走されているお姿は素敵で、感銘を受けました。

細渕さんは、江戸時代から15代続く歴史ある農家で、住宅が所狭しと並ぶ杉並区で1ヘクタールの農地を所有されています。
農地は市内4か所に分散していて、その中で一番南にある上高井戸の農地は京王線の車窓から見える新宿より最後の農地だそうです。北側に一つ飛び地のようになっている農地では、縁あって柑橘を栽培されているとのこと。(勉強不足なもので、住宅地で柑橘が栽培されているイメージがなく、柑橘を、しかもかなりの規模で栽培されていることに驚きました!)また品種も多岐にわたります。みかん、夏みかん、八朔からレモン、シークワーサーまで、その品種の多さにも驚きました。
細渕さんのお話の中で特に印象的だったのは、宅地開発の波の中でお父様と共に農地を守り抜いてきたというエピソードです。
細渕さんは、所有している土地の一部で不動産を営んでいるそうです。相続の際には、農地を売り不動産を残す選択を取ることも考えたそうですが、農家である限り農地を、また農業を守らなければいけないというお父様の教えもあり、畑には一切手をつけずにアパートを売り、農地を守ったのだとお話してくださいました。
農業を大切にするお父様の考えは、細渕さんにも受け継がれているように感じました。
かつて都農協副会長でもあったお父様は、常に次の世代のため、将来の農業のためを考えていらっしゃった方だそうです。細渕さんは今回の講演の最後に、最初は講演の話を断ろうか、と思っていたと明かしてくださいました。しかし最終的に講演を受諾したのは、講演を通じ、かつての父のように次の世代のために行動しなくてはならないと思ったためだったとのことでした。
杉並区の農業は数字で見れば縮小傾向にあるのかもしれませんが、そこには素敵な思いを持った農家の方々と、農業にもっと触れたいと願う区民がいます。その思いを支えるJAの方々もいます。
安易に「杉並区の農業の発展を願いたい」と書いてしまうのは、ただ傍観しているようでためらわれますが、それでも杉並区の農業の未来が明るいものであってほしいと強く願います。杉並区で育てられた野菜を見かけたら、手に取って、ささやかながら応援させていただきたいと思いました。

エマリコくにたちインターン 坂井陸斗

【2025年8月度:東京農サロン・ゼミ】株式会社エマリコくにたち代表の菱沼勇介登壇。「直売所の常識は、小売業の非常識(直売所経営学概論)」

東京農業のマニアックなテーマについて、夜な夜な語り合う「東京農サロン・ゼミ」
2025年8月の農サロンゼミでは、
東京農サロンの主催者の一人でもある、東京活性化ベンチャー・エマリコくにたち代表の菱沼勇介さんが、
「直売所の常識は、小売業の非常識(直売所経営学概論)」について語ってくださいました。

エマリコくにたちさんは、東京農業の活性化を目的に、
「しゅんかしゅんか」という地元野菜の直売所を国立・西国分寺・武蔵境に3店舗経営している会社です。

今回の講義の中で、特に印象に残ったのは「委託式」についてです。

委託式とは、農産物の販売を委託する仕組みのこと。
つまり直売所は「野菜を販売する場所」を貸すのが役割であり、
配送・陳列・値付けなどは基本的に各農家が行い、
販売金額の一部が「手数料」として直売所の収入になる仕組みとのことです。

この仕組みは、直売所経営において「在庫リスク」や「資金繰りリスク」が発生しないというメリットがあります。
一方で、価格戦略や売り場づくりといった通常の小売店では必須の取り組みが難しく、
他店との差別化や「付加価値」の付与が進みにくい。
結果として、インフレや賃金上昇など社会的変化に弱い業態を生み出している要因になっているとのことでした。
また、従業員にとっても制約が多く主体的にお店の経営に関わりづらく、改善が進みにくい構造となりやすいとのこと。
さらに「コンビニ弁当理論」(菱沼さんの造語)と呼ばれる、機会損失を拡大させていく視点もとても興味深く感じました。

「委託式」だけが直売所の制約条件ではないと思いますが、
「直売所の常識は小売業の非常識」を生み出す大きな要因の一つであることを強く実感しました。

では委託をやめて買取式にすれば直売所経営がどんどん良化していくのでしょうか?
もちろん決してそんな単純な話ではないと思います。

ただ私自身はいろいろな農産物に出会える直売所が大好きであり、今後も広がっていってほしいと願っています。
そのためにも、菱沼社長がおっしゃる「直売所のプロフェッショナル人材」について、
今後さらに学びを深めていきたいと思います。

エマリコくにたちインターン 小林みなみ

(東京農村7周年)アカデミアの発信。都市にも農業はあるべき!

6月の東京農サロンは、7周年記念のスペシャル回!!

通算78回目となる今回は、東京大学空間情報科学研究センター・准教授の新保奈穂美さん、千葉商科大学人間社会学部・准教授の小口広太さんをお招きし、アカデミアの視点から見た都市農業について熱いお話を伺いました。


1人目のゲストスピーカー 新保奈穂美さんは、以前『まちを変える都市型農園 コミュニティを育む空き地活用』を出版された際にも東京農村でお話しいただきました。今回も、国内外の事例を織り交ぜながら、都市を変革するツールとして発展してきた都市型農園の歴史や役割について伺いました。


都市の変革ツールとなる!? 都市農業の意義

都市型農園の歴史は遡ること19世紀ヨーロッパ。産業革命による都市の過密化で、感染症が蔓延する中、ドイツのシュレーバー博士が子どもたちの健康を促すため、緑の遊び場を作ったのが市民農園の発端と言われています。「クラインガルテン」と呼ばれる農地の貸借制度は、都市住民の小さな畑として親しまれています。また、2度の世界大戦中は食糧確保目的で都市型農地が各地域に広がりました。

日本においても、農業以外の土地活用を求めた農家と農に触れたい市民、双方のニーズによって、市民農園やコミュニティ農園などが徐々に広まってきました。特に最近はコロナ禍の貸農園ブームで、農を取り入れた暮らしが着目されてきています。

このような歴史からも分かるように都市型農園の機能は生産だけではありません。多世代にとっての居場所であり、防災・減災のための場所でもあり、環境教育、健康維持、資源循環など、、、幅広い価値を提供できる場所なのです。多様な意義がある一方で、関わる主体も農家、企業、市民、行政など多様化しています。そのため、イニシアティブをとっていく中間支援組織がないことが課題だと新保先生は指摘されていました。どのように都市型農園を活用し、よりよい都市空間を作っていくのか更なる議論を進めていかなくてはなりません。

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2人目のゲストスピーカー 小口広太さんは、日本農業経営大学校でも講師を務められた経験があり、鋭い視点で都市農業が抱える課題や今後の可能性についてお話しいただきました。


都市農業から生み出す!『畑を耕す市民』

近年浸透してきた「地産地消」という言葉。農産物と市民の物理的な距離は縮まってきましたが、農家と市民の人間的な距離は未だ離れたままだと小口さんは指摘します。さらに一歩先、農家と市民が協働する関係性を作っていくために小口さんが挙げていたのが「畑を耕す市民」です。現在は、市民農園や援農ボランティアなど様々な農業への関わり方が広がっています。とはいえ、経済的・時間的制約により、関わりたくても関われない人、もっと本格的に農業をやりたいのに余暇活動程度しか参加できない人など、ニーズのミスマッチは発生しています。そのため、農業との多様な接点を作り、階段状に様々な受け皿を準備していくことが必要となるのです。私たち市民自らが「畑を耕す市民」となり、農地をコモンズとしてみんなで守っていく関わり方が求められています。

 老若男女問わず多様な人々を受け入れる包容力が都市農業の特徴です。そこにあるというだけで非常に価値がある、特異な存在です。だからこそ、生産性のものさしで図るだけでなく、多面的なものさしをもって都市農業の価値を見ていくことが重要となっていきます。今後は都市農業が、日本の農村社会の課題を解決するモデルになっていくだろうと小口さんは仰っていました。


お二方の都市農業に対する熱い思いに触れ、その後の懇親会も大盛り上がり。これからの都市農業に想いを馳せながら、熱い夜を過ごすことができました!

 

1階「野菜と酒 Sprout」旬野菜が次から次へと……

本日は、東京農村1F、本施設の顔ともいえる酒場「野菜と酒 Sprout」をご紹介します。

女性のお客様が多い店内。すっきりとしながらも落ち着いた内装です。


新芽や芽吹くという意味のSrout。このお店は、とにかく野菜推し!
新鮮な野菜をこよなく愛す大越シェフの料理が次々に登場していきます。

お通しの塩こうじのスープからスタート。
今日は、セロリと新たまねぎ。
ちなみに、お酒は、ビールにワイン、焼酎、クラフトジンなど色々選べます。


スナップエンドウ。春が旬!


季節の香味野菜たっぷりのだし巻き卵が名物だそうです!


そして、ジャガイモはゴルゴンゾーラで。さらに、パンにつけて。
さいこーですね!

シウマイもほうれん草たっぷり!蒸したて!

季節の野菜を堪能できて、しかし、ひとつひとつがお酒にも合うようにもなっている。

Sproutの魅力は、和洋関係ないノンジャンルの野菜料理。シンプルな調理のなかに、野菜とお酒への愛と工夫が溢れています。

旬に出会いにぜひお出かけください。

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