東京農村ブログ

『農家の防犯』【東京農サロン・ゼミ開催レポート】

偶数月の第3水曜日、夜な夜な開催される東京農サロン・ゼミ。

4/17(水)は『農家の防犯』というテーマのもと、
東京援農会の直江秀一郎さんを講師としてお招きし、
畑の作物の守り方についてお話ししていただき参加者で議論しました。

シークレットのゼミなため詳細の内容はのせられないのですが、
現実として日本の各地で農産物盗難が起きており、盗難の内容も多様化しているとのこと。

対策は、施錠の徹底・看板の設置・防犯カメラの導入・見回り・自動販売機の導入などいろいろおこなわれており、
実際に成果もでているようですが、そこにかける投資をどう回収するのかのという課題は、
とても農業者の負担になるなと感じました。

農業者にとっての一番の問題は「心理的なダメージ」のようです。
手塩にかけて育てた農産物が一瞬にして奪われる虚しさ、そしてなかなか補償・解決につながらない現実。
あまり犯人の検挙に躍起になると近隣住民との関係性にもひびがはいることもあるようです。

犯人にも2タイプあり悪気のないタイプとプロの犯行があり、
誰でも販売ができる社会になっていることも輪にかけて環境を複雑化させているようです。

犯行のタイプごとに対策をたてていきながら、
自治体は強く寄り添い犯罪は取り締まらなくてはなりません。

しかし取り締まり先に人間社会の幸せがあるのか?
個人的には疑問に思います。

きれいごとと思われる方もいらっしゃると思いますが、
人間社会が幸せにむかっていく対策をベースに議論していく
個人的には「みんなが仲良くなってしまい」結果犯罪がなくなる方向にむけて
私自身注力していきたいと今回思いました。

このような機会をいただきありがとうございました!

ライティング:株式会社エマリコくにたち スタッフ 本多 航

「農家と食べようin東京農村」シリーズ:府中サワトマト編

2月22日木曜日、「農家と食べようin東京農村」シリーズを「東京農村5F」で開催しました。

「農家と食べよう in東京農村」シリーズは、農家さんのエピソードや様々なお話を聞きながら、
その方が丁寧につくった農産物を使ったお料理を楽しむ会です。

今回のゲスト農家は、
府中市澤藤園の澤藤園 5代目 澤井政善さんにお越しいただきました。

澤井さんは、
製薬会社から転職し、2023年の第2回全国ミニトマト選手権にて「さわとまと」で最高金賞、「さわとまと極み」で金賞というダブル受賞を達成した凄腕の農家さんです。

■澤藤園詳細↓
https://sawatomato.jp/feature
ちなみに全国ミニトマト選手権は、日本野菜ソムリエ協会主催のコンテストです。

評価員のコメント抜粋。
「感動レベルの美味しさ。甘み、酸味、うま味、香りが良く果肉も濃厚で最高に感じた。」
そんな澤井さんのトマトを食べながら(その他のトマトとの食べ比べも予定中。)その栽培のエピソードや、農業の面白さ、そして澤井さんご自身の人となりについてなどいろいろおしゃべりしませんか?
東京農村5Fはシェアキッチンになっており、調理や食事ができます。


澤井さんは筋金入りの理系ということで、
仮説➡検証をひたすら繰り返し、糖度を毎回のようにはかり続け
絶品のトマトを作り上げた!ということが分かりました!

またサラリーマン出身ということで
営業・マーケティングも重視されており、
ビジネスマンとして凄腕だなとおもいました。

そして、
お話しぶりもすごくロジカルかつユーモアもあり
とても話に引き込まれました。

さて実食!
うーん!おいしい!甘い!酸味も絶妙!




農家さんとテーブルを囲みながらの食事は、
単にその野菜をおいしく味わうだけでなく、
様々なエピソードが聞くことができ
かつ農家さんの人柄に触れることもでき
おいしさが倍増します!

今後も農家とたべようシリーズを企画していきますので、ご都合合う方はぜひお試しください♪

また、
澤井さんは今後も精力的に活動を予定しているようなので
ぜひサワトマトにご注目ください!

ごちそうさまでした!

エマリコくにたち社員 本多 航

2024年1月 東京農サロンNEO『東久留米市発!「やさいバス」がやってきた』

奇数月の第3水曜日、開催される東京農サロンNEO。1/24(水)は『東久留米市発!「やさいバス」がやってきた』というテーマのもと、「野崎書林」の野崎林太郎さんと、「やさいバス」の江川洋平さんにお話をお聞きしました。

●野崎書林の「書店併設型の野菜マルシェ」

「書店+野菜マルシェ」という興味深い取り組みをしている野崎書林代表の野崎林太郎さん。こうした取り組みを始めた理由は、単に書店事業としての差別化戦略にとどまらず、地域を支え・盛り上げていくという志によるものでした。

「書店も農業も、大きく利益の出る事業ではないが、環境・教育・社会の豊かさ・持続性にとって「責任」と「可能性」のある事業である。だからこそ【書店+農業】を組み合わせて地域を盛り上げていこうとする想いのある仲間が集まり活動する場を作りたい!」

私も偶然1月に訪問しましたが、木造りでオシャレなスペースに市内で育てられた野菜や果実・野菜を使ったジャム
(東京JAM:https://tokyo-jam.com/
市内名産の「柳久保小麦」のパンケーキミックスなど、自慢の名産品が所狭しと並べられておりすごく感銘を受けたのを思い出しました。

●農業界の流通を変える「やさいバス」

そんな野崎さんも参画している清瀬・東久留米・小平などを駆けめぐっている「やさいバス」。「やさいバス」について私自身恥ずかしながら今回初めて聞いたのですが、「ECを通じた生産者と消費者の売買」を支える新たな「地域共同配送システム」であり、コストが削減できるだけでなく、「生産者」と「消費者」を大きく近づける可能性をもった画期的な取り組みであることが理解できました。(実は2017年から静岡県で始まっており、全国8か所で広がっているようです。)東京担当の江川さんから現在立ち上げのため様々なチャレンジの話をお聞きしその魅力、難しさについてお話しいただきました

 

私自身、現在、直売所・流通にかかわる立場で「地元の東京農業の活性化」をめざし働いているので、多くの「共感ポイント」と「ヒント」がありすごく自分事として聞き入ってしまいました。そしてボトルネックとして「消費者がどうしても地元野菜・商品が欲しくなるような価値・理由づくり」に今まで以上に力をいれていくことが大切だと改めて思いました。

野崎さん、江川さんありがとうございました!

 
(エマリコくにたち社員 東京農サロンNEOスタッフ 本多 航)

2023年のイチオシの本は?【東京農サロン・ゼミ開催レポート】

年の瀬の12月20日水曜日。
今回は、”スペシャル忘年会”ということで、普段と趣向を変えた東京農サロン・ゼミが行われました。

今年一番面白かったコンテンツ(本や映画)を、参加者全員からひとつずつ発表していただきました。

表紙の帯を書いている気持ちで推薦文を書いてもらい、壁にずらりと貼りました。食関係や農関係、経営関係の、とっても興味深いコンテンツばかり。

質問もたくさん飛び交って、参加者が食や農にきわめて強い関心を持っていることが分かると同時に、あらためて多様な才能が集まるイベントであることを再認識いたしました。

そして、もっとも多くの参加者が「読んでみたい!」と言った書籍『発酵食品と戦争』(小泉武夫著、中公新書)を発表されたKさんには、多摩市農産加工組合(農業者有志でつくる加工所)の味噌「原峰のかおり」が賞品としてプレゼントされました。

以下に、当日紹介された、本と映画のリストを掲載します。ぜひご覧になってみてください。

ーーー以下、全17作品!(順不同)ーーー

1 日本再生のレシピ / 奥田政行 https://amzn.asia/d/dpKTMn9
2 北欧でみつけたサステイナブルな暮らし方 / 井出留美 https://amzn.asia/d/c6Vx9Nx
3 今日、誰のために生きる?ーアフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語 / ひすいこたろう https://amzn.asia/d/f8kGfRg
4 「いただきます」の人類史 : ヒトの誕生から生活習慣病の現代まで / 蒼井倫子 https://amzn.asia/d/61jWytW
5 日本のコメ問題ー5つの転換点と迫りくる最大の危機 / 小川真如 https://amzn.asia/d/9aUzlGn
6 まちを変える都市型農園 / 新保 奈穂美 https://amzn.asia/d/g9WGGy5
7 経営リーダーのための社会システム論 / 宮台 真司、野田 智義 https://amzn.asia/d/gORWgxb
8 土とともに美術にみる<農>の世界 / 茨城県近代美術館  ※今では手に入らなそう
https://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/viewer/info.html?id=141
9 給食の歴史 / 藤原 辰史 https://amzn.asia/d/f0OUZqa
10 エシカルフード / 山本 謙治 https://amzn.asia/d/fYX2rYc
11 スパイス完全ガイド / 稲田俊輔 https://amzn.asia/d/i0Wuxti
12 めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン! / 多屋光孫 https://amzn.asia/d/0tsoOqv
13 くろねこ軒の本当に美味しいBASIC とっておきのSPECIAL / 池谷 信乃 https://amzn.asia/d/aInRvnK
14 一流の人間力 / 井上 裕之 https://amzn.asia/d/358EvVI
15 発酵食品と戦争 / 小泉 武夫 https://amzn.asia/d/i5Qe6El
16 都市の農を考えるー農的活動の新展開と市民緑農地の展開(未出版) 2月頃?
17 【映画】さよなら ほやマン
https://longride.jp/sayonarahoyaman/

みどりあふれるメトロポリス!農地が担う役割は? 【東京農サロン・ゼミ開催レポート】

偶数月の第3水曜日、夜な夜な開催される東京農サロン・ゼミ。
10/18(水)は『みどりあふれるメトロポリス!農地が担う役割は?~東京都の施策を語ろう~』というテーマのもと、都庁の都市整備局都市づくり政策部緑地景観課長の菅原淳子さんを講師としてお招きし、独自政策の成果や見通しについて伺いながら、東京都のみどりと農地の関係についてお話ししていただきました。

東京都の取り組み~農の風景育成地区とは~

東京都の「みどりの取組」では、大方針のひとつに、【将来にわたり農地を引き継ぐ】ことが掲げられています。
東京都には公園整備、開発で創出してきた緑、人々の生活に寄り添い受け継がれてきた里山、屋敷林などの様々な緑が身近にありますが、そのなかでも農地はまちがいなく重要なファクターです。国の動きとしては、生産緑地などの法制度で都市農地を守ろうとする動きもありますが、東京都にも独自政策があります。たとえば「農の風景育成地区」の指定が代表的で、一定の成果を残しています。

「農の風景育成地区」とは、減少しつつある農地をオープンスペースとして保全し、農のある風景を将来に引き継ぐ制度のことです。東京の農地は、食料生産だけでなく、潤いのある風景の形成や、災害時の避難空間など、多面的な役割を担っています。この制度では、農地や屋敷林などが比較的まとまって残る地区を指定し、散在する農地を一体の都市計画公園等として計画決定するなど都市計画制度を積極的に活用しています。地域のまちづくりと連携しながら農のある風景を保全、育成しているのです。

この取り組みは、後継者問題や年齢・身体上の理由などにより営農継続が厳しい農家にとっても非常に大切な政策であり、今後より活用されていくべきだと感じました。菅原さんは「農地の大小関係なく、今ある農地はすべて残していきたい」と語っておられました。ただ、農の風景育成地区指定後に農地を維持・管理していくためには、地主・近隣住民・農地を管理する人の協力が必要であり、管理・維持費がかかることも課題になることがあり、一筋縄ではなかなかいかないそうなんです。試行錯誤しながらも、なくなってしまう前に少しでも多くの農地を守っていきたいとお話ししていました。

繋ぐ役割~みどりを考えるきっかけづくり~

「今後、貴重な都市農地を保全していくためには様々な人々の理解が必要であり『農と都民を繋げること』が私たちの役割です。」と菅原さんは熱く語っておられました。

農や緑があることを当たり前だと思っている人や興味がない人に、いかに農の重要性を感じてもらえるか。都民に実際に農に触れてもらい、農が身近にあることを意識してもらう。今はまだ「街づくりとしての農地」と捉えている人は少なく、農家は農地を畑としか捉えておらず、街中の人は「畑があるな」くらいにしか感じていない。農家も都民も都市農地の希少性を他人事のように考えている人が多いのが現状です。今後、東京都として都民に農地や緑に触れてもらうきっかけをつくり、農と都民の懸け橋になる政策を行っていくそうです。 

今回のお話しのなかで「守れる農地は大小関係なくすべて守りたい」というお言葉がとても印象に残っています
減少しつつある都市農地を守るためには東京都や農家だけでなく、私たち都民も農を理解し協力する姿勢が大切です。あらめて私自身も他人事のように捉えず、緑ある風景を守っていきたいと感じました。これから先、東京都がみどり溢れる街になる未来も近いのではないでしょうか!

(エマリコくにたちインターン生 福田菜子)

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