このたび、東京農村が4周年を迎えました。それを記念し6月15日に開催されたのが、東京農サロンスペシャル(次代の農と食をつくる会共催)。 “東京をオーガニックシティに?緑の食料システム戦略、初めの一歩”をテーマに、「次代の農と食をつくる会」から事務局長の間宮俊賢さんと代表理事の千葉康伸さんをお招きし、みどりの食料システム戦略や有機農業についてお話をしていただきました。
(左:間宮さん 右:千葉さん)
次代の農と食をつくる会って?
多種多様なバックグラウンドを持ったメンバーから結成され、多様な生命や暮らしのあり方を認め、尊重し合う社会の基盤となる「次代の農と食」の新たな価値を創造・実現するために、様々な事業を行っているそうです。
代表理事の千葉さんは異色な経歴の持ち主。30歳で脱サラ後、の有機農業研修を経て、2010年に神奈川県愛川町で新規就農をスタート。今では有機J A Sも取得し、研修生6名と共に年間50種類の野菜を栽培されています。
みどりの食料システム戦略って?
みどりの食料システム戦略では、農林水産業全体の生産力を持続可能性と矛盾することなく高めていくことを目標としており、10年ごとに達成すべき目標が設定されています。そして、最終的に「2050年までに目指す姿」が具体的に示されており、30年後の農業の方向性を見据えた戦略となっています。
その中の取り組みの一つとして挙げられているのが、有機農業なのです。市町村での有機農業への取り組みを推進していたり、中間目標として、2030年までに化学肥料を2割減らすことを掲げています。
サステナブルな社会と有機農業の提案
さて、みどりの食料システム戦略で挙げられていると言っても、有機農業をすること自体が大切なのでしょうか。そうではないと千葉さんは言います。農業や農法には色々な種類があり、それぞれに提唱者がいて、各農家で使える資源も異なります。だからこそ、農法の否定により農家さんを分断するのではなく、SDGsを意識した新たな価値を見出すことが大切なのだそうです。ニーズは異なるけれど、一番は消費者さんに“美味しい”と“旬”を届けるということ。あくまでもその手段としての有機農業。千葉さんの熱い言葉に、農サロンの参加者の皆さんは大きく頷いていました。
有機農業ってどうやってやるの?
千葉さんは主に二つの有機栽農業において二つの工夫をしているそうです。
第一に土づくり。土づくりは化学性・物理性・生物性の化学だそう。光のエネルギーの循環に重きを置いて、茅をチップにしたり、籾殻・雑草・緑肥・地域資源などを土に還元したりしているそうです。まさにサステナブルな農法です。
第二に資材を用いての除草。防草シートを用いることで、草取りをする手間も減るのだそうです。また畑の通路が空いていれば麦を敷くこともあるそうです。
最後に有機農業をやる上では、植物生理を理解し土に合った作物を作ることや、時期にあった資材や作物を作ることが大事だと力強く話しておられました。
今回はサステナブルな社会に向かう手段としての有機農業について、生産者目線でお話いただきました。
またこの先の未来に豊かな環境を残すために、消費者としては何ができるかを改めて考え直すきっかけになりました。
Written by エマリコくにたちインターンT