東京農村ブログ

東京の農地を守る!”一歩先行くJA”の奮闘[東京農サロン ゼミ第4回開催レポート]

偶数月に開催されている東京農サロン・ゼミ。今回は4月20日に開催され、”都市農地の防衛最前線。一歩先行くJAの奮闘”をテーマに、世田谷目黒農業協同組合 資産サポート部 資産相談課の坂本康介にお話をお伺いし、これからの都市農地の未来について参加者の熱い議論が繰り広げられました。


坂本さんは元々広島信用金庫に勤めておりましたがその当時、世田谷目黒農協に勤めていた坂本さんの友人の結婚式に参加した際、他にも参加していた世田谷目黒農協の役職員さん同士の距離の近さや、アットホームな雰囲気に他との金融機関との違いを感じ、退職後、世田谷目黒農協へ入組しました。



世田谷目黒農協って何をしているの?


農地の減少を防ぎ、農業を安心して行うことのできる環境づくりをすることであることを1番の目的として、それに基づくさまざまな事業を世田谷目黒農協は行い、事業の黒字化を目指しています。

この明確な目的を持っている農協は実はあまり多くありません。また、農地の減少を防ぐことが、世田谷目黒農協の1番の目的であることを社員全員がすぐに答えられるようになっていると坂本さんは話していました。


また、世田谷目黒農協の組合員である農家さんは、職員に対して営農についての相談はあまり多くなく、税金や相続についての相談が多かったため、資産サポート部を作り、現在では税金や相続の問題について詳しい専門家と組合員を繋ぐ役割をしています。 


その他にも農地を守る事例として、宅地を農地への逆転用を行っています。生産緑地に転用する例は、多くはないものの、1年に2〜3件実績としてあり、これを数年間継続して行っているそうです。

さらに、世田谷目黒農協自ら体験農園の畑を作り、その運営も職員が行っているそうです。体験農園は民間の方でも運営をしている例がありますが、農協が率先してその事業を行うことにより、農地を手放さない例を作ることも目的としています。




組織全員で作り上げるセタメ

農業協同組合は英語表記の頭文字を取って”JA”と呼ばれることが多く、この呼び方ならみなさんも聞いたことがあると思います。

この呼び方は、横文字の企業名にすることが流行りであった平成初期に、農家だけではなく、みなさんといっしょに地域のくらしづくりをしていくために、親しみやすく覚えやすい名前にしようという思いがきっかけで”JA”という呼び方が生まれたそうです。

しかし坂本さんは、「本来農協というものは組合員に頼りにしてもらうものであり、我々は農業協同組合であるという精神のもと、事業を展開しています。」と話しており、JA世田谷目黒ではなく、世田谷目黒農協という意識で働いています。


“一歩先行くJA”と呼ばれている理由として、世田谷目黒農協が農地を守るためにさまざまな事業をおこなっていることが1番に挙げられますが、今回坂本さんの付き添いという形で、世田谷目黒農業協同組合 代表理事理事長である上保 貴彦さんが参加していただき、坂本さんのサポートを行っていました。このように、職員の近くに役員や理事長がいることによって、会話の中で職員一人一人が成長できる環境づくりができていることも、他の農協にはない素晴らしい点だと思いました。