偶数月にお届けしている東京農サロン・ゼミ第3回が2月16日に赤坂見附の東京農村にて開催されました。
「まだ見ぬ東京農業の話をしよう」というコンセプトのもと、第3回は「ついに来た、2022年!生産緑地、どうなる?どうする?」というテーマのもとニッセイ基礎研究所 社会研究部 都市政策調査室長であり、「まちなか農家プロジェクト」、「NPO法人武蔵野農業ふれあい村」などで都市農業を応援する活動を実践している塩澤 誠一郎氏をお迎えして、”2022年問題”と呼ばれる問題についてお話を伺い、その後は参加者の皆様による熱いディスカッションが行われました。
2022年問題とは?
そもそも”2022年問題”とは何か、農業を生業にしている方々ならご存知だと思いますが、私から軽い説明をさせていただきます。
1992年に制定された生産緑地法の制度の中に、「最低30年は農地・緑地として土地を維持する代わりに税制優遇を受けられる」というものがあり、その土地が生産緑地と呼ばれています。
この制度により農地がどんどん宅地に転用されてしまう事態を軽減することができていました。
しかし生産緑地法には、簡単に言うと「30年経過したら生産緑地を解除していい」と言った内容のことが書いてあり、その30年後というのが今年、2022年ということになります。1992年当時は元気であった農家さんも30年が経過すれば、年齢も重ね農地として管理していくことが困難になり、結果として今年農地を手放すという人が少なからず出てきてしまう事態になってしまうのです。
現状の調査では、生産緑地の9割以上はそのまま残り続けるそうですが、逆に1割程度は農地ではなくなってしまいます。
現在、生産緑地の買取り申出ができる時期は、10年延期ができ、10年経過後は改めて所有者等の同意を得て、繰り返し10年の延長ができることになっています。
現状とこれからについて
もちろん農地として残すか、手放すかを判断するのは土地の所有者なのですが、ただ、農地を管理している方が家族に相談せず、独自の判断で生産緑地をどうするか決めてしまい、後から家族がその事実を知るパターンが多くあるという現状があります。
農地が減る一方である現状を今回のゼミに参加していただいた方が、「(生産緑地を)守ろうというのは、いわば、 絶滅危惧種の動物をどう守っていくか、という議論に近い。」と例え、続けて「それはそれで大切だけど、ずっと 守るだけでは気持ちが続かない。だから、どう増やすか、そういう考え方をしていかなくては。」と仰っていたのが非常に印象的でした。
いくら10年後に農地を手放す農家さんが少なくても、減り続けることには変わらず、大学生である私が40歳や50歳になった時には農地がどのくらい減ってしまうのか、考えるだけで不安になります。そのため、安藤さんが仰ったようにこれからは農地をどのようにして増やしていくかが大切であり、実際に世田谷では、月極のパーキングを畑に変えた例が複数あるという情報があります。
日本はこれから人口減少が進み、宅地がどんどん余っていきます。その中でその余った土地をどう転用していくか、ひょっとすると、減る一方だった農地が増加傾向になる可能性もあるかもしれません。そのためにも、都市農業の魅力をさらに多くの人に知っていただき、農業に関心を持つ人が増えてくれることが、大切になると思います。私もその1人となり、農地の増加に少しでも貢献したいと言う気持ちが、この農サロンゼミで強くなりました。
今回も貴重なお話、そしてディスカッションの場に参加させていただき、ありがとうございました。次回の農サロンゼミでもよろしくお願いいたします。
作成者 エマリコくにたちインターン 秋草 楠