偶数月にお届けしている東京農サロン・ゼミ第2回が12月15日に行われました。
「まだ見ぬ東京農業の話をしよう」というコンセプトのもと、第2回は産直ECサイトである「食べチョク」や「ポケットマルシェ」を主販路のひとつとして活用し、大きな売り上げを上げている鴨志田純さんと、「食べチョク」の生産者様パートナー森田慧さんから、お話を伺いました。
生きていくためにどういう農業をしていくか
もともとは数学の教師をしていた鴨志田純さん。東京の限られた土地で農業をするだけでなく、堆肥の開発、また全国各地に飛び講演会なども行っているそうです。
その忙しい中でも、明確な目標売り上げを立てて、こだわりを持った作物を生産するために、厳密な作付け、販売計画を立てており、「数学教師の力がここで発揮されるとは」と笑顔で話されていました。
また、販売されている野菜セットは鴨志田さんご本人が1つずつ丁寧な梱包を行い、全てのセットに鴨志田さんのご家族が手書きしている手紙が入っています。
さらには、料理が趣味である奥様がInstagramで野菜セットに入っている珍しい野菜を使った料理レシピを投稿しており、家族の強い支えもありながら、細かいところまで消費者に気を配った商品の提供が行われています。
生産者のこだわりが正当に評価される世界へ
現在のユーザー数約50万人、流通額は昨年度に比べ約128倍にも成長している産直ECサイトの「食べチョク」。気になる野菜をネットで注文できてさらにその野菜を自宅まで届けてくれるという消費者側のメリットだけでなく、農協を通さないため、生産者がこだわりを持って育てた野菜を生産者さん本人が値段を決められ、さらに80%の粗利益を得ることができる生産者側のメリットもあるのが産直ECの大きな強みです。
さらに購入した野菜を消費者がレビューし、そのレビューが生産者にしっかり届くため、生産者の新たなモチベーションや普通は繋がることのないコミュニティを食べチョクは創り上げています。
今回お話をしていただいた森田さんご本人も、時間があれば現場に向かい、生産者それぞれのこだわりを直接感じているそうです。
鴨志田さんに関する質問の際に、あえて森田さんがいる前で「食べチョクに対する改善要望はありますか?」というとても失礼な質問を私からさせていただきました。鴨志田さんは「特にないですけど…(笑)」と言いながらも挙げてくださった改善要望を森田さんが熱心にメモしているところがとても印象的でした。その場面からも感じ取れる生産者と食べチョクの信頼関係や、森田さんの生産者に寄り添うという強い気持ちが、食べチョクの急成長に繋がっていると思いました。
貴重なお話をしていただいた鴨志田純さん、森田慧さん。そして初参加の私に対しても気さくに話しかけていただいた参加者の皆様。このような貴重な機会を提供してくださり誠にありがとうございました。
Text by M.K.(エマリコくにたち・インターン)